住宅ローンの債務控除(令和2年8月27日掲載) | |
|
|
公開日:2020-08-27
|
【問い】父が亡くなり、自宅の住宅ローンが債務として残りました。団体信用生命保険契約から支払われる保険金で返済される予定ですが、この住宅ローンについては相続税の計算に当たって債務控除ができますか。
【税理士】団体信用生命保険、通称「団信」は、住宅ローンを利用するときだけに使える特殊な生命保険で、住宅ローンの返済中に契約者が死亡したり、高度障害になり支払いが難しくなったりした場合に、保険金で残りの住宅ローンが弁済される保証制度です。住宅ローンは返済が長期にわたるため、万が一の事態に備えて「団信」に加入するのが一般的です。
さて、相続税の計算上、債務は相続財産から差し引くことができますが、対象となるのは「確実な債務」と認められるものです。住宅ローンのうち、団信契約に基づいて支払われる保険金によって返済されることが確実で、相続人が支払う必要がない債務は「確実な債務」に該当せず、差し引くことができる債務とはなりません。
従って質問のケースでは、お父さまの住宅ローンはこの「団信」により全額返済されることとなり、相続人が支払う必要のない債務となりますので、相続税の計算上、債務として控除することはできません。
被相続人の債務に住宅ローンがある場合には、「団信」加入の有無を確認する必要があるため、注意が必要です。詳しくはお近くの税理士にご相談ください。
(南九州税理士会熊本西支部 川野直一)
|
※掲載の【答え】については、
新聞掲載日現在の法令に基づいています。
▲ このページの先頭へ
© South Kyushu Certified Public Tax Accountants' Association