配偶者居住権(令和5年4月13日掲載) | |
|
|
公開日:2023-04-13
|
【問い】私は土地・建物の評価額が3千万円の自宅と預貯金3千万円かあり、妻と同居しています。相続人としては妻のほか2人の子供がいますが、それぞれ独立して生活しています。相続税において2020年4月1日に運用が始まった「配偶者居住権」について、私が死亡したときの手続きや利用する場合のメリットなどを教えてください。 【税理士】残された配偶者が相続開始時に住んでいた被相続人所有の建物に、亡くなるまで、または一定の期間居住することができる権利(配偶者居住権)が、18年7月の民法改正で新設(20年4月1日施行)されました。 適用するときの手続きとしては、亡くなった被相続人が遺言書などで配偶者に取得させることを記載したり、共同相続人による遺産分割協議書で決めたりした後、配偶者居住権の登記をします。住み続ける期間を終身とすると、権利は亡くなるまで続きます。 次に、妻や子供が取得する相続財産ですが、ご質問の場合、通常の遺言がない場合の法定相続による遺産分割では、妻が3千万円、子供2人がそれぞれ1,500万円となります。妻が自宅を相続すると預貯金は全て子供たちに渡り、妻には生活費が残りません。逆に子供たちに自宅を渡すと、預貯金は残りますが住む家に困ってしまいます。 そこで配偶者居住権を活用することで妻は自宅に住み続けられ、子供たちは配偶者居住権の負担付自宅の所有権を得ることができます。仮に配偶者居住権の評価額が1,500万円だとすると、具体的相続分は妻が配偶者居住権1,500万円と預貯金1,500万円。子供2人がそれぞれ不動産所有権(宅地建物)750万円と預貯金750万円を取得することになり、妻の生活費が確保できます。 詳しくはお近くの税理士にお尋ねください。
(南九州税理士会熊本東支部 中野正)
|
※掲載の【答え】については、
新聞掲載日現在の法令に基づいています。
▲ このページの先頭へ